愛には美しさが必要?
白雪姫という物語は、グリム兄弟が「グリム童話」として出版した1800年頃のドイツの民話です。
物語の始めに「雪のように白い子ども」ということで名づけられた白雪姫と、王様であるお父さん。お母さんは早くに亡くなっていて、継母の王妃様が登場します。
王様の2番目の妻である王妃様は、王様に愛されているのは自分が美しいからだと思っています。「美しい」というのがポイントですね。
だから、王様からの愛を独り占めしようと思うと、誰よりも美しくいなくてはいけないのです。気持ちの流れとしたら自然です。
邪魔な者は消す?
王様が治めているような権力が物を言う世界では、自分のポジションを守るための一番簡単な方法は邪魔な者を消すです。
王様はポジションが確定しています。その王様の子どもである白雪姫もポジションは安泰です。でも、継母は血縁関係がないので、自分のポジションを守るためには王様の愛が必要になります。
3人のなかでは王妃様が一番の弱者ですよね。ポジション的に。
気持ちというものは変わりやすいものです。正式に結婚をしていても、王様からの愛が永遠に続く保証はなくて、いつ離婚されるかわからないのです。
だから、邪魔な者は消すしかない!と考えたのでしょう。
白雪姫は5度死ぬ
自分の存在を脅かす者が自分のそばに居る、ということに王妃様が気いた時、物語が始まり、闘いの鐘が鳴りました。
「7歳の白雪姫が自分より美しい」と魔法の鏡に宣言された王妃様は、自分のポジションを守るために白雪姫を殺す決心をします。
① 王妃様に命じられた
猟師に殺されかける
7歳の可愛い女の子を殺したくなかった猟師は、白雪姫を殺さず、殺した証拠として猪の肝臓を王妃様に提出しました。
② 猪が出る深い
森の中に置き去りにされる
猟師から置き去りにされた白雪姫は森の中を歩き回って小屋を見つけ、その小屋に住んでいた7人の小人と交渉して、家事をするという条件で住まわしてもらう。
7歳の少女が森の中で1人きり=死の可能性、大ですよね。
③ 物売りに化けた
王妃様に絞殺される
白雪姫が死んでいないことを魔法の鏡から教えられた王妃様は、物売りに変装して白雪姫が住んでいる小屋まで行き、腰ひもを買うようにすすめる。
すすめながら白雪姫の首にひもを巻き付けて締め上げて、白雪姫の息が止まったのを確認してから帰る。念入りな行動です。
森での仕事を終えた小人たちが小屋に戻り、倒れている白雪姫の首に巻き付いていたひもを切って生き返らせる。
④ 物売りに化けた
王妃様に毒くしで刺される
白雪姫が死んでいないことを再度、魔法の鏡から教えられた王妃様は毒を塗ったくしを作り、物売りに変装して小屋に行って白雪姫の頭にくしを突き刺し、倒れて動かなくなったのを確認してから帰る。
森での仕事を終えた小人たちが小屋に戻って、再度倒れている白雪姫の頭に突き刺さっていたくしを取って生き返らせる。
⑤ 物売りに化けた王妃様に
毒リンゴを食べさせられる
白雪姫が死んでいないことを再再度、魔法の鏡から教えられた王妃様は毒を塗ったりんごを作り、物売りに変装して小屋に行く、リンゴをかじった白雪姫は息絶える。
森での仕事を終えた小人たちが小屋に戻って、再再度倒れている白雪姫を見つけるが生き返らせることができなかったので、白雪姫をガラスの棺に入れる。
グッドタイミングで
王子様登場
ちょうど通りかかった、よその国の王子様が白雪姫を気に入り、死体でもいいからと言って、小人から白雪姫をもらい受ける。
王子様の家来が棺を持ち上げて運ぶ時に、切り株でつまずいて棺を落とし、その衝撃で白雪姫の喉に詰まっていた毒リンゴの破片が口から飛び出て息をふきかえす。
そして、ものがたりはハッピーエンドに向かいます。
白雪姫の行動はありのままか
自然のまま、ありのまま、あるがままに生きるのじゃ
嫉妬する感情③で老子先生がおっしゃっていたように、白雪姫はありのままに生きているように見えます。
同じような手に何度もだまされて死にかけるなんて、
「なんて学習能力がないお馬鹿さん、なんだ」
という感じがしないでもないのですが、なんせまだ7歳なので、言われたことを素直に聞いてしまったのでしょう。
でも、小屋に住まわしてもらうために、小人に交渉するなど、自己防衛本能とも言うべきたくましさは持っています。
人生をありのままに生きていると、困難にあっても救いの手はあらわれる、というお話なのですね。