夏の終わりの怪談
魂を感じた日

まだまだ暑い日が続いています。こんな暑い日には少しひんやりする話をしたいと思います。
それは冬のある日、高校生だった私が家にただ一人、コタツで寝ていた時のこと。

気配の塊のようなものが玄関から入って、ドアの向こうから部屋の中をのぞいている感じがしました。
この時の私は半分起きているけど身体が動かない、「金縛り」の状態です。

気配の塊は、部屋の中をのぞき、私の身体を見つけたようです。部屋の中に入り、私の近くに寄ってきました。

気配の塊は私の上に乗り、私の身体の中に入ってこようとしました。
重量感がある霧が身体におおいかぶさってきた感じです。身体に入られた瞬間、気配の正体がわかりました。

少し前に亡くなった父親の魂が、自分の身体を探して家に戻り、横たわる身体を見つけて自分の身体だと勘違いしたようです。
で、私は目を閉じたまま
違う!これは私の身体!
と強く念じていたら、気配はなくなりました。
自分の身体ではないことを理解してくれたようです。これ以降、父の気配を感じたことがないので、成仏してくれたと思います。
私はこの体験をしたことで、魂の存在を信じるようになりました。死んでも魂は残るんだ、すぐに消えてなくなることはないんだ、と思ったのです。
